私自身は中学生時代から大の映画好きで、一頃は年に数百本見た年もあった。当時から映画は‘生き方’や‘生き様’を教えてくれるものが多かったように思う。一連の西部劇がそうだったし、ドラマ系にしても然り。いつの頃からか「映画は娯楽」として認知され、興行収入によっての選別化が進み、極めて数少ない映画だけが昔ながらの生き方指南としての映画道を進んでいる。イーストウッド映画はその路線をいまだ走っているが、この映画「レスラー」もそういった一本。老いぼれプロレスラーの悲哀を通して何とも味わい深い‘人が生きるとは?’という問いが見え隠れする。ミッキー・ロークの名演も素晴らしい。勘違いしてはならない。「男はこうあるべきだ」と正義の生き方を語っているのではない。こういう生き方しか出来ない男もいる、という事実とそれに対する愛情の映画なのだ。人が生きるというのは決してそんなに格好良くスマートなものではない。近所のガキを連れ込んで、時代遅れのTVゲームをやらせて自分を慰める、その哀れさ!キャサリン・マンスフィールドの「園遊会」の最後の言葉だ。「ああ、人生っていうヤツは!」